水溶液とはなんだろう?

水溶液ということば自体はみなさん聞いたことがあると思います。水に何か混ざったもの、という理解でしょうか。この理解で間違いはないのですが、理科でいう水溶液はもう少しキッチリその意味が決まっています。

この意味が日常で使う水溶液の理解と若干違うところがあるかもしれませんので、丁寧に学習していってください。

水溶液は水に何かを溶かしたものという理解に加え、次の2点に注意しましょう。

@溶かしたものが水中に「均一に」散らばっている
A水溶液は透明である

例えば、ココアを考えてみましょう。ココアはもちろんご存知ですよね。水(お湯)にココアのもととなる粉を入れてつくるものをイメージされると思います。水にココアの粉を溶かしたものだから、ココアは水溶液なのでは?と思うのも無理はありません。

しかし、理科でいうところのココアは水溶液ではありません。まず透明ではないですよね。透明なコップにココアを入れて、反対側をのぞいて見てください。反対側は見えませんね。透明でないということは水溶液ではありません。

一方、砂糖を溶かした水、砂糖水はどうでしょう?水に砂糖を入れたてのときは砂糖は見えるので透明ではないです。つまり、まだ水溶液ではありません。ところが、よくかきまぜたりすると砂糖がすべて見えなくなり、キレイに溶けてしまいます。こうなると砂糖は目に見えないくらいに小さく分かれて、水中に均一に散らばった状態となります。

なお、砂糖が「均一に散らばった」ことを確認するには砂糖水のいろいろなところをなめてみれば分かりますよ。よく溶けた砂糖水であれば、あるときはすごく甘かったり、あるときはほとんど甘くないということはなく、均一に同じ甘さでしょう。

このような砂糖水は水溶液といえます。水溶液といえる条件を十分理解しておいてください。

水溶液の条件

用語を覚えましょう

水溶液にはどんな要素があったでしょう。砂糖などの水に「溶かしたもの」、砂糖などを「溶かす」水、がありましたね。一般的にこれらには名前がついています。

溶けているもの(例:砂糖、食塩・・・)←「溶質(ようしつ)」
溶かしている液体(例:水、エタノール・・・)←「溶媒(ようばい)」

また、溶質と溶媒合わせて「溶液(ようえき)」といいます。必ずしも「水」溶液だけでないことに注意してください。水溶液の場合、水が溶媒ですよーという意味です。これが仮に水ではなくエタノール(アルコールの一種で液体)であれば、エタノール溶液という言い方になるのです。

用語の説明

水溶液の濃さもしっかり理解してください

水溶液は何かが水に溶けたものなのですが、ここでまず知りたくなるのは「どれだけ溶けているの?」ということです。 同じ砂糖水でも、なめてみたら甘さの違いがあるかもしれません。それは砂糖水の「濃さ」によります。もちろん濃ければ濃いほど甘い、ですよね。

それでは、「濃さ」とはなんでしょうか?例えば同じ量の水が入った2つコップに、それぞれ砂糖を溶かすことを考えてみてください。一方のコップにはもう一方のコップに入れた砂糖の2倍の量を入れたとしましょう。当然2倍入れたほうのコップが甘いですね。つまり、溶質(ここでは砂糖)の量が多いほど濃い、ということがいえます。

ここまできて、溶質の量=濃さ、と考えればよいと思いますが、ほんとうにそれでよいのでしょうか?

いいえ、まだ不十分です。今度は、2倍の砂糖を入れたほうをコップに入れるのではなく、水がなみなみ入っている風呂がまにしてみましょう。

どうなりますか?想像できますよね。

この例では、もちろんコップに砂糖を入れた砂糖水のほうが甘いでしょう。つまり、濃いということです。ということは、濃さは溶質の量だけでは決まらないことになります。溶媒(ここでは水)の量が少ないほど濃い、ともいえます。

以上から、水溶液の濃さを「溶媒の量に対してどれくらいの量の溶質が入っているか」で判断します。そして、濃さを「濃度(のうど)」といいます。

濃度を表す要素は

濃度ということばはなじみがあるのではないでしょうか。小学校のときから、算数や数学で食塩水の濃度を扱った文章題を解いたことがあるかもしれません。算数や数学では計算することに集中していたと思いますが、理科では計算以上に濃度の意味をしっかり理解しておきましょうね。

理科は自然や身のまわりのことを理解しようとする学問です。ですから、濃度といわれたら、まずはその現象のイメージをしっかりできるようにしておくことが大切ですよ。

それではちょっと例題を解いてみましょう。

【問題】
次の食塩水のどちらがしょっぱいでしょう?
@100gの水に10gの食塩を溶かした水溶液
A300gの水に20gの食塩を溶かした水溶液

一見すると、20gの食塩を溶かしたAのほうが濃く、しょっぱいように感じますが、溶媒である水の量にも注意しましょう。つまり、@とAの水の量をそろえて考えてみます。@の水の量を3倍の300gにすれば、溶けている食塩の量も3倍になるので(食塩は均一に溶けている!)、食塩は30gとなります。

@300gの水に30gの食塩を溶かした水溶液
A300gの水に20gの食塩を溶かした水溶液

という比較になるので、これでハッキリしました。濃いのは@であり、よりしょっぱい食塩水ということになります。

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