中和ってなんだろう
水溶液の性質として酸性・中性・アルカリ性を前の章で学びましたが、これら3つは全く関連のない性質ではありません。よく見ると、中性が真ん中で酸性とアルカリ性が混ざると中性になりそう・・・という感じがしませんか?
その感覚は確かにその通りです。そして、酸性とアルカリ性の水溶液をある特定の量をうまく混ぜ合わせると打ち消されて、中性となります。
これは水溶液の中の酸(水に溶けると酸性を示す物質)とアルカリ(水に溶けるとアルカリ性を示す物質)が反応して、お互いの性質を打ち消しあう「中和(ちゅうわ)」という反応です。
中和の代表的な例として次があります。
塩酸+水酸化ナトリウム水溶液→食塩(塩化ナトリウム)+水
塩酸という酸性の水溶液と、水酸化ナトリウム水溶液というアルカリ性の水溶液が中和という反応を起こしている例です。一般に、中和反応は「塩(えん)」と呼ばれる中和でできた物質と水ができます。
なお、塩(えん)といっても必ずしも食塩のしお(塩化ナトリウム)ができるわけではありませんので、ご注意ください。中和で発生した水以外の物質を総称したものと理解してください。

中和の実験について
それでは、実際どういうふうに中和反応を観ていくのかを確認していきましょう。先の例を用います。今、試験管にBTB溶液を混ぜた塩酸を入れた試験管を用意します。この時点では、もちろん酸性なので水溶液の色は黄色です。
そして、こまごめピペットでこの試験管に少しずつ水酸化ナトリウムを滴下していきます。ここで中和反応が起こるので、酸性が弱まり、黄色もうすくなってきます。これを進めていくと、ついに緑色になります。塩酸と水酸化ナトリウムがきれいに中和され、中性になったということですね。
さらに水酸化ナトリウムを滴下していくと、今度は水酸化ナトリウムの量が多くなり、だんだん青色が濃くなっていきます。水溶液がアルカリ性に変わっていったということです。
この実験は問題によく出題されますので、しっかり理解しておいてください。どのタイミングで中性となったのか、酸性またはアルカリ性であるときはいつか、中和反応は水酸化ナトリウムを滴下して中性になるまで続くこと、などがポイントとなります。
